脳出血や心筋梗塞になって突然倒れたりしたくない。そんな思いで血管の健康について、日頃から情報収集をしている方も多いのではないでしょうか。でも、その知識には、思い込みや勘違いも含まれているかもしれません。血管のエキスパートに、基礎から最新情報までを教わります。
私たちの体に張り巡らされた血管は、約37兆個もの細胞の代謝を司る人体最大の臓器です。動脈・静脈・毛細血管の3種類があり、心臓から出た血液は、動脈を通じて酸素や栄養を末端まで運び、毛細血管で細胞へ届けます。この血液循環が、私たちの健康を支えているのです。
◇動脈硬化のメカニズムと「血管年齢」の落とし穴
年齢を重ねるにつれ、血管は弾力性を失い、厚く硬くなっていく。これが「動脈硬化」といわれる現象です。動脈硬化が進行すると、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、狭心症、心筋梗塞など、命にかかわる病気につながることもあります。また末端の血流低下に伴い、冷えによる肩こりや腰痛、体のだるさ、肌のくすみ、髪のパサつきなどの不快な症状も引き起こされます。
老化の進行度の指標として「血管年齢」がありますが、血管年齢が若いからと安心していると、隠れた危険を見逃してしまいます。動脈硬化では、血管が厚く硬くなる過程で、内部に「プラーク」と呼ばれる脂肪の塊ができます。初期段階の小さなプラークほど、心筋梗塞を起こしやすいという研究結果もあり、血管年齢だけでなく、血管内壁の滑らかさ、つまりプラークの有無にも注目する必要があります。
◇老化した血管を回復させる2つの物質
近年、老化した血管を回復させる効果がある物質として注目されているのが、以下の2つです。
1. NO(一酸化窒素)
血管内皮細胞から分泌されるNOは、血圧を安定させ、血管内の傷やプラークを修復する効果があります。NOを多く出す秘訣は血流をよくすること。ウォーキングなどの有酸素運動や入浴はもちろん、椅子に座ったまま足を動かすだけでも血管が収縮・拡張され、NOが分泌されます。
2. 水素ガス
腸内細菌が生み出す水素ガスは、血流改善の効果があるうえ、老化を促進する活性酸素の発生を抑えてくれます。日々の食事に、食物繊維を豊富に含む野菜を取り入れるなどして、腸内環境の改善を心がけましょう。
◇高めの血圧を改善するには?
高めの血圧を改善したい場合、何から始めるのがベストでしょうか。専門家によると、まずは糖質制限と運動が効果的です。
塩分については、腎臓や心臓が健康で高血圧の薬を飲んでいない人は、そこまで厳しく制限しなくても大丈夫です。日本高血圧学会は1日6g未満としていますが、血圧が正常であれば1日8g程度なら問題ないと考えられます。味噌汁は1日1杯まで、醤油やソースは別皿で、塩の代わりに香辛料を使うなど、無理なく控える工夫をしましょう。
お酒については、適量であればストレス解消になり、血流を良くしてNOの分泌を促す効果も期待できます。女性の適量はビール350ml缶1本弱、ワイングラス1杯、日本酒0.5合程度です。ただし、飲み過ぎは禁物です。
一方、糖質は積極的に控えたほうがいいでしょう。糖質たっぷりの食事は内臓肥満の原因になり、血糖値の急上昇と急降下を招き、血管を傷つけます。1食あたり糖質40gを目安に制限し、主食を減らす代わりに野菜やきのこ、肉、魚、豆類をしっかり摂ることが大切です。
◇まとめ
血管の健康を保つためには、血管年齢だけでなくプラークの有無にも注目し、バランスの取れた食事や適度な運動を習慣化することが重要です。また、NOや水素ガスといった物質の働きを意識しながら、腸内環境を整え、無理のない範囲で生活習慣を見直していくことが、しなやかな血管を取り戻す第一歩となるでしょう。
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